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付帯研究2
原発不明がん患者の家族の体験に関する研究
石田 京子*
*名古屋大学大学院医学系研究科 総合保健学専攻包括ケアサイエンス領域 看護科学高度実践看護開発学講座/がん看護専門看護師
はじめに
原発不明がんは,全がんの3-5%を占めるが1),わが国では希少がんに位置づけられる.診断期は長期化しやすく,その間に症状も悪化することが多い2).原発巣不明のがんである診断は,患者にとって受け入れがたいものであるが3),患者の体験や心理社会的影響に関する研究は進んでおらず,その支援ニーズも十分に明らかにされていない.わが国では,筆者らの研究により原発不明がん患者の初期治療開始までの闘病における心理的負担が明らかとなった4).一方,患者の体験をともにする家族も同様の負担を感じている可能性があるが,原発不明がん患者の家族に焦点を当てた研究はほとんどない.
付帯研究46
緩和ケア病棟で終末期がん患者にみられる「故人やあの世をみた体験」などの終末期体験に関する研究
大日方 裕紀*1,鈴木 梢*2
*1北海道大学大学院保健科学研究院,*2がん・感染症センター都立駒込病院 緩和ケア科
はじめに
患者が亡くなる前,実に不思議としか言いようがないことが時折起こる.たとえば,夫がすでに亡くなっていて,娘と2人暮らしの患者が,入院し亡くなる数日前に「大好きだった旦那に会えて,もう思い残すことはない」と笑顔で話されたり,家族が虫の知らせともいうような予兆を感じ,病院に連絡がくることもある.このような経験をする患者や家族は,意外と少なくない.これらの終末期の体験や現象をまとめると,「夢や幻覚で故人やあの世をみた体験」「死の直前になって一時的に症状が寛解したり,意識状態が清澄になる現象」「その場にいない家族などが死を感じ取ったり,臨終時およびその前後の時計の停止や電灯の点滅などの偶然の一致の体験」にまとめられる1,2).これらの体験が,患者によっては穏やかな気持ちをもたらし,穏やかな死を迎えられる場合もある.では,このような体験を家族はどのように受け止めているのだろうか.また,医療者は,それらの体験を遺族へのケアにどのようにつなげることができるのだろうか.
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