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なにそれ1 マリグナンシーならばれんやろ?!
腫瘍には良し悪しがある.字面そのままに「good」「bad」と考えてもそれほど間違いではないと思うが,それらにくっついている「性」の字も合わせて考えると,より正確に理解できる.その「性」だが,性(サガ)ととらえると少し哲学的・宗教的に偏るので,性質(タチ)とするのが妥当と思われる.
なにそれ2 がんって漢字と平仮名で意味ちゃうねん!
ここに「癌」が紛れこむと話がややこしくなる.「癌」の用法には大きく二説あり,①「癌」を「がん」と同義とする考え方と,②「癌」を「癌腫」と同義とする考え方がある.私の印象では,学会などでは①が多く,巷では②が多い.となると,①が正しいと思いがちだが,たとえば世に広く流布する「扁平上皮癌」という用語は,②を原則にしないと矛盾する.そういうこともあって,たとえば日本癌治療学会では①の立場を表明しながら,「扁平上皮癌」問題を例外事例(つまり②を用いるべき例)として言及している.この例外がくっついているところが,わかりにくさ(ひいては,巷への広がりにくさ)の原因と思われるが,これについて文句を言っても仕方がない.これまで,なんとんなく自由気ままに使われてきた「癌」を,今さら「がん」とくっついたらどないです? とか,いきなり「癌腫」はんと一緒になりなはれ! って言われても,どうしてもはみ出るもんはでてくる.
なにそれ3 まだ昔の名前で出てはるで~ あのヒト!
「む~かしの名前~でぇ,出て~ぇい~ま~すぅ~」という小林旭さんによる往年の名曲では,忍やら渚やらに改名しながらがんばってはる姐(あね)さんが出てくるが,腫瘍は改名しなさそうである.なので,昔から変わらない名前ばかりかというとそうではなく,改名している腫瘍は意外に存在する.影響力のある団体・組織・雑誌が,定期的に腫瘍分類の見なおしを行っているため,それに伴っていくつかが改名されているのが実情である.
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