特集1 看護師だからこそできる“寄り添い”のかたち ~エキスパートの実践に学ぶ~
身体(からだ)へのケアを通しての寄り添いのかたち
角田 直枝
1
Naoe KAKUTA
1
1茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター/がん看護専門看護師
pp.301-303
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_301
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“寄り添い”のエッセンス
・看護師は,身体に触れることを許された職業であるからこそ,患者が言葉にできない緊張や不安などを患者の身体から感じ取ることができる ・部分的な身体へのケアであっても,皮膚を介してのつながり,温かさが患者に安心をもたらす
身体へのケアを通して寄り添う
私たちの日常業務は,患者の身体に触れる機会が多い.しかし,最近では,急性期病院における日常生活援助の機能分化やチーム医療が進み,かつて看護師が患者の身体に触れて行ったケアにおいて,そのあり方が変わってきている.たとえば,清潔ケアや排泄ケアなどを看護補助者が実施するようになったり,患者に直接触れてケアを考えるよりも,少しでも早くチームメンバーに報告・連絡することが優先されたりという変化が起きていると感じる.
しかし,看護師は,日常生活のなかで患者の身体にさまざまなかたちで触れることを許された職業であるからこそ,患者が言葉にできない痛みや恐怖などを患者の身体から感じ取ることができるのではないだろうか.そして,清潔や排泄などの身体へのケアを通して,看護師が患者の言葉にできない痛みや恐怖を和らげようと行うからこそ,患者は看護師に思いを表出し,看護師を信頼してくれるのだと思う.本稿では,痛みへのケアと清潔ケアの場面を取り上げ,身体へのケアを通した“寄り添い”を考えることとする.
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