特集 上部消化管がん看護のいま2020
術前リハビリテーションを促す看護 ~呼吸リハビリ,嚥下リハビリ,運動リハビリ~
上間 美夕紀
1
Miyuki KAMIMA
1
1がん研究会有明病院看護部/がん看護専門看護師
pp.537-542
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_537
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はじめに
がんの周術期においては,術前および術後早期からのリハビリテーションにより,術後の合併症を予防し,後遺症を最小限にして,スムーズな術後の回復を図ることが重要である1).
食道がんは60~70歳台で,胃がんにおいては80歳台と高齢で罹患のピークを迎える.高齢者は,臓器の機能低下,身体運動機能の低下を呈していることから,手術によるさらなる機能低下を防ぐ必要がある.また,食道がん,胃がんともに喫煙が危険因子であり,喫煙者は手術前から肺機能が低下している場合が多い.さらに,食道がん手術は,開胸あるいは胸腔鏡下に頸部・胸部・腹部の3領域に及ぶリンパ節郭清を行い,食道を切除する術式を標準手術とする非常に侵襲の大きな治療法である2).これらの患者特性や手術内容から,食道がん,胃がんにおいては術後合併症のリスクは高く,術前からのリハビリテーションを行うことで,合併症の予防,早期回復を目指す必要がある.
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