トピックス 耳鼻咽喉科のリハビリテーション
嚥下障害のリハビリテーション
進 武幹
1
1佐賀医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.265-270
発行日 1989年4月20日
Published Date 1989/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200329
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I.はじめに
嚥下障害におけるリハビリテーションの対象となる患者は,主として①口腔,咽頭,喉頭などの悪性腫瘍摘出後に嚥下の通路に形態的欠損が生じた場合,②脳血管障害,変性疾患,脳外傷などにより神経・筋系の機能脱落をきたした場合,などである。これらの嚥下障害患者のリハビリテーションは系統的に行われていないのが現状である。米国では医師と言語療法士,看護婦などがチームを組み,リハビリテーションのプログラムが作成されつつある。本邦では二,三の施設で独自に経験的に施行されているにすぎない。その理由は種々考えられるが,嚥下障害患者を取り扱っている医師の関心が薄いこと,あるいはリハビリの効果があまり期待できないことなどが挙げられよう。
リハビリテーションを行うには,嚥下障害の的確な評価がなされ,それに対応する治療のプログラムを作成しなければならない。このためには,耳鼻咽喉科・頭頸部外科医,神経内科医,脳神経外科医,さらに医療関係者などが協力し合って解決しなければならないと考えている。現在,確立された方法はないが,文献的考察を加え,今後の問題点を挙げ,参考に供したい。
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