トピックス 嚥下障害
嚥下障害のリハビリテーション
伊藤 裕之
pp.391-396
発行日 1990年5月20日
Published Date 1990/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900066
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はじめに
身体障害者が増加するとともに,その障害も重度化していることが指摘されている1)。身体障害の重度化の一つは,一人の障害者が四肢運動機能障害以外に多くの障害を合併していることである。そのなかで,最も問題となる障害の一つが嚥下障害である。
リハビリテーション(以下,リハと略す)を定義することは難しい。現在,リハは,狭義には,訓練の意味で使われることが多いが,広義にはリハは訓練だけではなく,社会的あるいは職業的障害の軽減もリハに含まれる。すなわち,リハは種種の障害による日常生活上の不自由度を最小限にすることを目的とする科学である。しかし,リハの歴史的経過から,リハには外科的な治療は含まれない。外科的治療をリハとするならば,鼓室形成術や鼻中隔矯正術もリハとなってしまうからである。ちなみに,整形外科の人工関節置換術はリハとは考えられていない。本稿では,上記の意味のもとで,神奈川リハビリテーション病院の経験より,嚥下障害のリハに関する一般的事項について述べる。
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