トピックス 耳鼻咽喉科とリハビリテーション
嚥下のリハビリテーション
進 武幹
1
,
前山 忠嗣
1
1佐賀医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.561-567
発行日 1993年7月20日
Published Date 1993/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900747
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はじめに
最近わが国も高齢化社会を迎え,脳血管障害,各種変性疾患,頭頸部腫瘍の手術に起因する嚥下障害が増加しており,その治療は重要な問題となってきている。また鼻腔胃管チューブにより必要な栄養は摂取できるが,口から食物を摂取するという人間の根元的な欲求を満たすことはqualityof lifeの面からも大切なことである。嚥下障害の治療の1つとしてリハビリテーションがあるが,それは単に嚥下運動を繰り返し行うことを強いるものであってはならない。嚥下のリハビリテーションに携わる者は嚥下のメカニズムを熟知しておく必要があり,また病態は症例により様々に異なるため,各種検査を行って詳細に分析し,病態に応じたきめ細かなプログラムを作成する必要がある。さらに,嚥下訓練中は大量の誤嚥や食物による気道閉塞の危険性があり,窒息への対処の仕方や蘇生術の心得も大切である。嚥下のリハビリテーションは多方面にわたり,多くの者が関与するため,緊密なチームワークも大切である。
なお嚥下は第1期(口腔期),第2期(咽頭期),第3期(食道期)に分けられるが,ここでは主として第2期について解説する。
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