特集 上部消化管がん看護のいま2020
術後早期からの栄養コントロール ~胃がん術後患者への食事支援~
竹内 抄與子
1
Sayoko TAKEUCHI
1
1がん研究会有明病院看護部/がん看護専門看護師
pp.535-536
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_535
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- 文献概要
術後の栄養管理の必要性
術式による訴えの違い
外科手術による胃の切除法には,代表的なものとして胃全摘術(total gastrectomy:TG),幽門側胃切除(distal gastrectomy:DG),噴門側胃切除(proximal gastrectom:PG),幽門保存胃切除(pylorus-preserving gastrectomy:PPG)の4種類がある.どの手術が行われるかは,がんができた部位,がんの深達度,悪性度,リンパ節などへの転移の有無などにより決定し,各術式により患者の術後の訴えに違いがみられる.
たとえば,TGの場合,食欲はそれほど湧いてこないが通過障害がないため,食事は割とすらすらと摂取できてしまう傾向がある.しかし,逆流感やあまり噛まずに摂取することで消化不良を訴えることがある.また,PPGの場合には,胃の容量が小さくなり胃の出口の幽門が残っているため内容物が胃にたまり満腹感が早く,胃部の張り感やうっ滞感がみられる.
このように,胃切除後症候群の種類や程度は,胃の切除部位・範囲や再建法に影響を受ける.また,同じ術式や再建法が行われても,出現する症状の程度には個人差がみられ,術式だけでなく,術前後の心理社会的要因も影響すると考えられ,その点をふまえたケアが必要である.
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