Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅱ.保存的治療にあたっての診断,支援機器,診療体制
腰椎分離症に対する保存的治療後の競技復帰判定にはMRIが有用である
Magnetic resonance imaging is useful for determining return to sports from conservative treatment for lumbar spondylosis
辰村 正紀
1
,
蒲田 久典
2
,
奥脇 駿
1
,
松浦 智史
1
,
江藤 文彦
1
,
山崎 正志
2
M. Tatsumura
1
,
H. Gamada
2
,
S. Okuwaki
1
,
S. Matsuura
1
,
F. Eto
1
,
M. Yamazaki
2
1筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター水戸協同病院整形外科
2筑波大学医学医療系整形外科
1Dept. of Orthop. Surg. and Sports Medicine, Tsukuba University Hospital Mito Clinical Education and Training Center/Mito Kyodo General Hospital, Mito
キーワード:
lumbar spondylolysis
,
conservative therapy
,
MRI
,
bone marrow edema
,
fusion rate
Keyword:
lumbar spondylolysis
,
conservative therapy
,
MRI
,
bone marrow edema
,
fusion rate
pp.23-27
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_23
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は じ め に
腰椎分離症は椎間関節突起間部に生じる疲労骨折である.発育期の運動選手に発生することが多く,中学生になって盛んになる部活動との関連も指摘されている1).診断方法はかつては単純X線が中心となっていたが,その診断率は非常に低く2),臨床的に用いるには信頼に足るものではなかった.昨今ではMRIの普及で早期発見可能となり3),治療導入も早期化したため保存的治療の成功率も向上した.
腰椎分離症の早期発見が可能となり治療への移行も早くなったものの,治療の効果判定ならびに治癒判定の基準に関する共通の見解は得られていない.その理由の一つとして,腰椎分離症は痛みなど自覚症状が乏しく,身体所見は必ずしも病状を反映していないことがあげられる4).また画像所見も治療効果の指標として用いるにはCTには被曝,単純X線には診断精度がデメリットといえる.治療の効果判定が曖昧となると,コルセット着用のエンドポイントや競技復帰の時期に関する見解がわかれる.MRIにおける骨髄浮腫は骨折部の治癒機転の活動性を反映する5)とされ,骨折治癒の判断基準として有用であるとする報告6)にならい,われわれはMRIによる骨髄浮腫の消失を運動再開の基準として用いてきた.本稿では,その妥当性を検証したため報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019