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特集 腰椎分離症—病態・診断・治療
腰椎分離症の診断
Diagnosis of Lumbar Spondylolysis
酒井 紀典
1
Toshinori SAKAI
1
1徳島大学大学院医歯薬学研究部地域運動器・スポーツ医学分野
1Department of Orthopedics, Institute of Biomedical Sciences, Tokushima University Graduate School
キーワード:
腰椎分離症
,
lumbar spondylolysis
,
腰痛
,
low back pain
,
スポーツ障害
,
sports-related disorder
Keyword:
腰椎分離症
,
lumbar spondylolysis
,
腰痛
,
low back pain
,
スポーツ障害
,
sports-related disorder
pp.13-16
発行日 2021年1月25日
Published Date 2021/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201562
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はじめに
分離症の定義(狭義)は,“関節突起間部の骨性の連続性がない状態”を指すが,最近では,「分離症は疲労骨折として発生する」という認識が広まり14),発生直後(骨折する前の状態)や進行中の疲労骨折も含め分離症とされている.狭義の定義に従って筆者らが調査した結果からは,本邦の成人においては約6%(男性8%,女性4%)の頻度で腰椎分離症がみられた10).これらの腰椎分離症をもつすべての人が有症状とは考えにくく,過去の文献から推計すると,その約4割が症候性となり2),“腰痛患者”となるポテンシャルが高いと思われる.
これまでの調査や報告などから,上記のように分離症が疲労骨折として発生するのはまず間違いない事実であるが,これらのほとんどが発育期に発生するため,分離症は子どものスポーツ障害の代表的疾患として挙げられる.過去の調査では,子どもの腰痛が2週間以上続いた場合,小・中学生では約40〜50%が,高校生では約30%が腰椎分離症(分離すべり症を含む)であった4).
以上のように,分離症が発育期に発生する病態であることを考えれば,発育期に正しい(正確な)診断を下し,適切な治療に導くことが,いかに重要であるかがわかる.本稿では,腰椎分離症の診断方法について述べる.
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