Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅵ.脊椎,骨盤疾患に対する保存的治療
仙腸関節機能障害を伴った末期変形性股関節症に対するAKA(arthrokinematic approach)-博田法での長期治療経過
Long-term course treated by arthrokinematic approach-Hakata method for patients with both a terminal osteoarthritis of the hip joint and a sacroiliac joint dysfunction
橋本 博子
1
,
佐々木 健
2
,
黒澤 大輔
3
H. Hashimoto
1
,
K. Sasaki
2
,
D. Kurosawa
3
1麻助メディカル
2ささき整形内科リハビリテーションクリニック
3JCHO仙台病院整形外科/腰痛・仙腸関節センター
1Majo Medical, Fukuoka
キーワード:
arthrokinematic approach-Hakata method
,
sacroiliac joint
,
dysfunction
,
hip
,
OA
Keyword:
arthrokinematic approach-Hakata method
,
sacroiliac joint
,
dysfunction
,
hip
,
OA
pp.162-165
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_162
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は じ め に
関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach:AKA)-博田法は,博田節夫医師が開発した徒手療法で,関節運動学と関節神経学に基づき,関節の遊び,関節面の滑り,回転,回旋などの関節包内運動の異常を治療する方法,および関節面の運動を誘導する方法である1).腰殿部痛の原因となる仙腸関節機能障害をはじめ,全身の滑膜関節を治療対象としており,各関節の機能障害が改善すると,関節原性の疼痛・しびれが消失する.急性および慢性腰痛症に対するきわめて有効な治療法であることがエビデンスとして示されている2,3).AKA-博田法では,仙腸関節機能障害の改善を主軸としているが,治療対象は全身の滑膜関節であり,股関節も治療対象に含まれている.
末期変形性股関節症は,高度な股関節可動域制限,疼痛のために日常生活で歩行困難などの大きな支障を生じるが,有効な保存的治療は明らかではない.手術的治療を望まない患者は多いが,有効な保存的治療がないために最終的に人工股関節全置換術(THA)が行われる.われわれは,末期変形性股関節症を有していても,AKA-博田法による仙腸関節機能障害の改善で股関節痛の軽減や歩容,QOLの改善が得られる症例をしばしば経験する4).この臨床的事実は変形性股関節症の病態を考えるうえで非常に興味深い.本稿では,AKA-博田法で5年以上の継続治療を行った末期変形性股関節例を提示し,仙腸関節機能障害と変形性股関節症との関連について考察する.
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