Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅵ.脊椎,骨盤疾患に対する保存的治療
難治性仙腸関節障害に対する保存的治療
-――理学療法からのアプローチ
Treatment options of physical therapy for patients with severe sacroiliac joint disorder
佐々木 健
1
,
黒澤 大輔
2
,
村上 栄一
2
,
江井 洋
1
T. Sasaki
1
,
D. Kurosawa
2
,
E. Murakami
2
,
H. Enei
1
1JCHO仙台病院リハビリテーション部
2JCHO仙台病院整形外科/腰痛・仙腸関節センター
1Dept. of Rehabilitation, JCHO Sendai Hospital, Sendai
キーワード:
sacroiliac joint disorder
,
conservative treatment
,
physical therapy
,
sacrotuberous ligament
,
iliolumbar ligament
Keyword:
sacroiliac joint disorder
,
conservative treatment
,
physical therapy
,
sacrotuberous ligament
,
iliolumbar ligament
pp.157-161
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_157
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は じ め に
仙腸関節障害の大部分は,不意の外力や繰り返しの衝撃で生じた仙腸関節の不適合による機能障害(仙腸関節障害)であり,後方靱帯の部分的過緊張により侵害受容器が刺激され疼痛が発生すると考えられている1).多くの症例では数回の仙腸関節ブロックや関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach:AKA)-博田法2)により段階的に痛みが軽快するが,症状の再燃や日常生活動作(ADL)が改善せず社会復帰などの目途が立たない症例が存在する.そこでわれわれは難治性の仙腸関節障害を効率よく治療するために,独自の理学療法を症例ごとに組み合わせて施行している.方針として,最初に仙腸関節周辺の靱帯に対する治療を行って疼痛軽減を図る.しかし,筋の過敏性が強く,靱帯そのものへのアプローチが困難である場合がある.このような症例で,腰椎椎間関節などの隣接関節の関節拘縮や下肢のタイトネスが認められる場合には,まずこの治療を優先的に行う.これにより多くの場合,過敏性が低下して,仙腸関節周辺靱帯の治療が可能となる.そして,疼痛レベルの改善に合わせて筋収縮訓練を追加することにより,仙腸関節を安定化させ持続的な疼痛軽減を図る.
本稿では,当院で行っている仙腸関節障害に対する5つの理学療法を症例堤示も併せて紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019