Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅶ.小児整形疾患に対する保存的治療
神経筋性側弯症に対する装具療法
Brace treatment for neuromuscular scoliosis in our hospital
小沼 早希
1
,
渡邉 英明
1
S. Onuma
1
,
H. Watanabe
1
1自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児整形外科
1Dept. of Pediatric Orthopedics, Jichi Children’s Medical Center Tochigi, Shimotsuke
キーワード:
neuromuscular scoliosis
,
pediatrics
,
spine deformity
,
brace treatment
Keyword:
neuromuscular scoliosis
,
pediatrics
,
spine deformity
,
brace treatment
pp.168-171
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_168
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は じ め に
側弯症は,おおまかに先天的な椎骨の形態異常(奇形椎)のある先天性側弯症,奇形椎はないが脳性麻痺,二分脊椎,脊髄空洞症,筋ジストロフィー,脊髄性筋萎縮症,神経線維腫症,Marfan症候群,Ehlers-Danlos症候群,骨系統疾患など1,2)なんらかの基礎疾患(症候群)に基づく症候性側弯症,その他原因不明の特発性側弯症に分類される.その中で神経筋性側弯症は,症候性側弯症の中の脳性麻痺などの上位運動神経疾患や脊髄性筋萎縮症などの下位運動神経疾患,筋ジストロフィーなどの筋疾患に伴う側弯症に分類されることが多い.神経筋性側弯症の原因は,進行する体幹バランス障害に導かれる脊椎で活動する筋力の機能障害3)といわれているが,いまだ不明である.神経筋性側弯症は,神経筋疾患の約90%4)に発生し,思春期特発性側弯症の約1~2%1)と比較すると高く,また骨の成熟が終わったあとも進行する症例が多い.また,心疾患,呼吸器疾患,消化器疾患などを伴うことが多いため,装具療法や手術的治療を行ううえで合併症が多く,治療に難渋することが多い.本稿では,当院で行っている神経筋性側弯症に対する装具療法とその治療成績について紹介する.
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