脊椎疾患における鑑別診断と治療法選択の根拠
治療法選択とその根拠 胸椎 原発不明の転移性脊椎腫瘍を疑わせる病巣に対して手術的治療を選択する根拠
山田 博信
1
,
平林 茂
,
本強矢 隆生
,
酒井 宏哉
1埼玉医科大学総合医療センター 整形外科
キーワード:
Alkaline Phosphatase
,
Diphosphonates
,
胸椎
,
骨髄腫-多発性
,
脊椎固定術
,
脊椎腫瘍
,
椎弓切除術
,
経口投与
,
肺腫瘍
,
椎弓形成術
,
NTx Telopeptide
Keyword:
Administration, Oral
,
Alkaline Phosphatase
,
Diphosphonates
,
Laminectomy
,
Lung Neoplasms
,
Multiple Myeloma
,
Spinal Fusion
,
Spinal Neoplasms
,
Thoracic Vertebrae
,
Laminoplasty
,
Collagen Type I Trimeric Cross-Linked Peptide
pp.150-155
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2007024945
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原発巣不明の転移性脊椎腫瘍に対する当科の治療方針は、まず骨破壊を抑制する目的でビスホスホネート製剤の内服を開始する。脊椎病変の進行度の評価には富田分類を用い、type 1~3およびtype 7の症例には放射線療法を選択し、type 4~6の症例には手術を行う。手術方法は、術前塞栓術を施行したのちに椎弓切除術による脊髄除圧、脊椎後方インストゥルメンテーションによる脊椎固定術を行い、そのさい病理組織を採取し、組織検査の結果に基づき一部の症例には放射線療法・化学療法を追加する。これまで12例に手術を行い、全例で組織検査の結果から原発巣を特定することができた。術後は全例で背部痛が軽減し、神経学的にもFrankel分類で1段階以上の改善が得られた。本症の治療目的は根治ではなく、あくまでも疼痛・神経症状の改善、ADLの維持にある。当科で行う手術は姑息的であるが、術後に放射線療法など集学的治療を追加できれば1回の手術で寛解が得られる可能性もある。
©Nankodo Co., Ltd., 2006