発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014122288
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72歳男。1年9ヵ月前に急性増悪の肺線維症を発症、今回、咳嗽と血痰を自覚し近医を受診したところ、異常陰影が指摘され、著者らの施設へ紹介となった。胸部X線およびCTで肺癌が疑われ、患者の1週間後の入院希望にてlevofloxacinが処方された。入院時、炎症反応、SP-Dは上昇していたが、KL-6は正常範囲であった。また、腫瘍マーカーProGRPやNSEは著明な上昇がみられ、低酸素血症と心房細動も認められた。一方、X線では左肺門部腫瘤影と浸潤影の拡大、胸水の貯留がみられ、CTでは腫瘤影の増大、閉塞性肺炎の拡大ほか、胸水の増加、両側の縦隔リンパ節の腫大が認められ、胸水穿刺細胞診では裸核状細胞が不定配列の集塊を形成していた。以上より、本症例は小細胞癌による癌性胸膜炎と診断され、塞栓性肺炎の治療を先行し、低酸素血症に対してはカニューラで酸素吸入を行なった。更に抗菌薬と免疫グロブリン製剤を投与し、CRPが低下した入院8日目から化学療法carboplatin+etoposideを開始した。その結果、1コース終了後に腫大したリンパ節と原発巣は著しく縮小しPRとなり、閉塞性肺炎の改善、左胸水の消褪、血液ガス分析も改善し、呼吸器症状もなくなった。尚、経気管支肺生検による病理所見では濃染した核を有する小型の腫瘍細胞増殖が認められるも、頭部には転移はなく、小細胞癌(cT3N3M1、IV期)であった。
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