発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014122289
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55歳男。27歳頃に2型糖尿病の診断で治療開始されたが、自己中断を繰り返した。48歳時にはインスリン療法が導入されるも自己中断と再開を繰り返し、コントロール不良であった。今回、54歳時に両大腿部痛が出現し、歩行時のふらつきや不安定さも自覚、半年後には大腿部の筋萎縮を認め、歩行障害にて著者らの施設へ受診となった。所見では著明な高血糖値、口腔内の乾燥、両側臀部と大腿部の筋萎縮が認められ、上肢筋力低下はないものの近位筋優位の下肢筋力低下が認められた。また、起立性低血圧はないが、EDおよび排尿障害等の自立神経障害や感覚神経の高度な障害が認められた。また、運動神経で腓骨神経は信号検出されず振幅低下しており、軸索変性所見が認められ、伝導速度低下、潜時延長により脱髄性、軸索変性を合併したポリニューロパーチ所見であった。一方、腹部CTでは慢性膵炎の所見はみられず、下腿MRIおよびGd造影でも筋炎所見は認められなかった。以上より、本症例は糖尿病性筋萎縮症と診断され、入院後に強化インスリン療法、疼痛に対し非ステロイド性消炎鎮痛薬が投与した。その結果、筋力トレーニング、歩行訓練などの理学療法の併用で血糖コントロールの改善と共に両大腿部の筋力も改善して歩行は安定し、肝機能も軽度改善した。
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