発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009003496
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71歳女。患者は貧血と黒色便を主訴とした。所見では末梢血で高度の貧血が認められ、BUN・クレアチニンが上昇、総蛋白・アルブミンが低下していた。腫瘍マーカーは軽度に上昇し、便潜血反応は陽性であった。一方、上部消化管内視鏡では慢性萎縮性胃炎以外に病的所見は認めず、下部消化管内視鏡では直腸から回盲部まで多量のタール便を認めたものの、出血部位は確認できなかった。そこで、RIアンギオグラフィと出血シンチグラフィを併用して小腸の出血部位を同定し、あわせてRIアンギオグラフィの集積およびCTとMRIでの造影効果所見に基づき、本症例は豊富な血流を示す小腸腫瘍の特徴を備えた小腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)と術前診断された。治療として開腹手術を施行したところ、Treitz靱帯から肛門側約70cmの空腸において、腸間膜付着部対側に壁外に発育した腫瘍が認められ、栄養血管も含めて小腸の部分切除が行なわれた。以後、経過は順調であった。
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