発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009003495
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73歳女。患者は発熱を主訴とした。四肢や体幹の関節の痛みを伴うようになり近医を受診、血液検査では炎症反応は高値であった。膠原病類似徴候を主徴としていたが、特定の膠原病の存在を示す検査所見は得られなかった。そこで、感染性心内膜炎の除外のため経胸壁心エコーを施行したところ、左房に径の拡大は認められなかったものの、内部に約3×2cm大の分葉状の塊状エコーが確認された。その形態から左房粘液腫を疑い、血清IL-6活性を測定したところ、23.5pg/mlと上昇を認め、あわせて頭部MRIでは最近発症した脳塞栓症の存在が明らかになった。心エコー上、腫瘍は極めて可動性に富んだ部分を有しており、新たな塞栓症が生じることが危惧されたため、早急に腫瘍摘出術が施行された。その結果、病理組織学的所見で粘液基質を背景に内部に小型の粘液腫細胞がみられ、左房粘液腫と確定診断された。術後は発熱、関節痛は消失し、血清IL-6活性も基準値まで低下した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008