発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009003497
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58歳女。患者は特発性顔面痙攣のためcarbamazepineを内服していた。今回、発熱と頭痛等の症状があり、近医で感冒として投薬されたが、顔面ならびに体幹を中心に発疹を生じ、肝障害も認めた。そのため著者らの施設へ紹介となった。所見では体幹・四肢を中心に頸部、顔面に紅色丘疹、瀰漫性滲出性紅斑が認められ、あわせて炎症反応、sIL-2R値の上昇が認められた。ヒトヘルペスウイルス-6(HHV-6)抗体の上昇はなく、当初は発症直前に投与された総合感冒薬あるいはNSAIDsを原因薬剤とする薬疹と薬剤性肝障害と診断されたが、入院20日目に顔面痙攣の症状が出現した。そこで、それまで中止していたcarbamazepineの服用再開の申し出があり、これが偶然にもチャレンジテストとなった。そして、carbamazepineが皮疹を増悪させたことと、更に経過中にHHV-6抗体価の上昇を確認できたことで、本症例はcarbamazepineによる薬剤過敏性症候群と確定診断された。治療としてステロイド投与を行なった結果、皮疹は次第に改善し、肝障害も軽快した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008