臨床室
保存的治療中に完全転位をきたした両側大腿骨非定型不全骨折の1例
伊東 良広
1
,
本村 悟朗
,
竹内 直英
,
中島 康晴
,
岩本 幸英
1九州大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
内固定法
,
骨粗鬆症
,
MRI
,
大腿骨骨折
,
Alendronate
,
Teriparatide
,
保存的療法
Keyword:
Conservative Treatment
,
Femoral Fractures
,
Fracture Fixation, Internal
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Osteoporosis
,
Radiography
,
Teriparatide
,
Alendronate
pp.335-337
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017272419
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70歳女。既往歴に全身性エリテマトーデスに対するステロイド治療、骨粗鬆症に対するビスホスホネート製剤治療があった。1ヵ月前より特に誘因なく右大腿部の疼痛が出現し、2週間後には左大腿部にも疼痛が出現し、歩行に支障が出るようになった。初診時単純X線像では両側の大腿骨骨幹部にcortical lucencyを伴わない外側皮質骨の膨隆像を認め、MRIでは脂肪抑制像で両側の外側皮質骨膨隆部に限局した骨髄浮腫像を認めた。両側大腿骨非定型不全骨折と診断し、両下肢の安静、ビスホスホネート製剤の中止、テリパラチド製剤の投与等の保存的治療を開始したところ、1ヵ月で疼痛はVAS 7/10程度まで改善した。治療開始後3ヵ月で疼痛はVAS 5/10程度まで改善し自宅退院となり、以後も疼痛は改善傾向にありX線像上も増悪することなく経過していたが、治療後7ヵ月につまずいて転倒し、両側ともに転位を伴う完全骨折を来たした。骨接合術を施行し、術後は両下肢ともに腫脹および疼痛が持続したため早期の離床は困難であり、自宅退院までに半年を要した。術後8ヵ月でADLは屋内歩行器歩行、屋外車椅子であった。
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