臨床室
頸椎手術の硬膜損傷に引き続いて起こった小脳出血の1例
増田 佳亮
1
,
岩田 栄一朗
,
中島 弘司
,
小泉 宗久
,
重松 英樹
,
田中 康仁
1国家公務員共済組合連合会大手前病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
硬膜
,
骨ねじ
,
MRI
,
術後合併症
,
術中合併症
,
小脳疾患
,
脊髄圧迫
,
脊柱後彎症
,
脊椎固定術
,
中枢神経系疾患
,
脳出血
,
椎弓形成術
,
頭部CT
Keyword:
Cerebellar Diseases
,
Bone Screws
,
Central Nervous System Diseases
,
Dura Mater
,
Intraoperative Complications
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Kyphosis
,
Radiography
,
Postoperative Complications
,
Spinal Fusion
,
Spinal Cord Compression
,
Intracranial Hemorrhages
,
Laminoplasty
pp.628-630
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335335
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70歳女性。1年前からの両手指のしびれに続き、両手指巧緻性障害が出現し近医を受診、頸椎MRIにて脊髄に顕著な圧排が指摘され、手術目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、頸椎MRIではC5/C6高位に脊髄の圧排と局所後彎が認められ、C5-C6の椎弓形成術と外側塊スクリューによる後方固定術が施行された。その際、術中に筋肉組織を椎弓から剥離したところC5/C6椎間で電動メスによる硬膜が損傷し、脳脊髄液が流出したため、椎弓を開大後、硬膜損傷部を縫合して、フィブリン糊を噴霧、閉創時に脳脊髄液の流出を確認後に陰圧ドレーンを留置した。手術はこのような経過で終了したが、術直後からやや覚醒不良であり、帰室後はドレーンから漿液性の排液が認められ、脳脊髄液の流出が疑われた。以後、術翌日から患者は嘔気や頭痛が出現して見当識障害を認め、髄液漏による低髄液圧性頭痛と術後せん妄と判断して経過観察とするも、術後2日目の陰圧ドレーン抜去時より見当識障害が悪化、加えて構音障害も伴った。頭部CTを行なったところ、左小脳半球には出血ほか、血腫の脳室内穿破と側脳室から第3脳室にかけて拡大確認された。そこで、脳外科にコンサルトして血腫除去術と脳室ドレナージ術を施行し、術翌日から立位・歩行訓練を開始した結果、患者は術後3週で回復期病院に転院となった。尚、転院時、両手の症状は改善したが、小脳性と考えられる歩行時のふらつきが残存した。
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