臨床室
脊椎の三次元実体模型を黄色靱帯骨化症手術へ応用した1例
森田 稔也
1
,
重松 英樹
,
小泉 宗久
,
岩田 栄一朗
,
登 希星
,
田中 康仁
1奈良県立医科大学 整形外科
キーワード:
MRI
,
超音波診断
,
脊髄造影
,
脊柱
,
X線CT
,
解剖模型
,
外科的減圧
,
黄色靱帯骨化症
,
コンピュータ支援手術
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Myelography
,
Models, Anatomic
,
Spine
,
Ultrasonography
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Decompression, Surgical
,
Surgery, Computer-Assisted
pp.631-634
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335336
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58歳女性。左下肢のしびれと下肢の冷感を自覚し近医を受診、神経所見から胸髄症を指摘され、胸椎MRIではTh7-Th10高位に黄色靱帯骨化症(OLF)を認め、ミエロCTでも同部位に骨化巣によって背側から強く圧排されていた。進行性の左下肢中心の筋力低下と歩行障害が生じていることから、手術目的で著者らの施設へ紹介となった。受診時、左下肢は徒手筋力テスト(MMT)で3以下の筋力低下が認められたが、右下肢の筋力低下はみられなかった。一方、Th10以下の領域に感覚鈍麻があり、Th12周囲と両側L4以下にもしびれが認められた。また、膝蓋腱反射とアキレス腱反射では明らかな亢進はみられなかったが、右バビンスキー反射は陽性であった。以上、これらの神経所見から主病巣はTh7-Th10までのOLFによる脊髄圧迫と判断し、Th7-Th10まで連続する三次元実態模型と各椎間の三次元実態模型も作製した。そして、実体模型で骨化部分を直接確認して、椎弓切除範囲と骨化巣切除範囲を計画、同模型を用いて患者・家族への手術説明を行い施術となった。術中所見では手術は脊髄モニタリングを併用して行い、Th6-TH11まで展開し、骨化巣の頭側と尾側の硬膜を確認後、三次元実体模型を参考に骨化巣の除圧を行い、椎間関節は可能な限り温存した。尚、脊髄の除圧に関しては術中超音波で確認した。その結果、術後早期から左下肢筋力と歩容の改善が得られた。
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