臨床室
成人における環軸椎回旋位固定の1例
徳永 綾乃
1
,
伊藤 芳章
,
二川 隼人
,
平野 典和
1富山労災病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
環軸関節
,
頸椎
,
脊椎骨折
,
X線CT
,
椎間関節
,
三次元イメージング
,
整形外科的マニピュレーション
,
環軸関節回旋位固定
,
頸椎装具
,
関節ロッキング
Keyword:
Atlanto-Axial Joint
,
Cervical Vertebrae
,
Manipulation, Orthopedic
,
Radiography
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Spinal Fractures
,
Imaging, Three-Dimensional
,
Zygapophyseal Joint
pp.625-627
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335334
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65歳女性。交通事故にて受傷、頸部痛を訴え救急般送され、頸椎捻挫と診断され帰宅したが、翌日に頸部痛と頸部の運動制限が生じ、整形外科へ受診となった。所見では頸部は左斜頸位で固定され回旋不能であったが、神経学的異常はみられなかった。だが、単純X線正面像では頸部の軽度側彎が認められたほか、側面像ではC1が前方に突出しており、開口位では右C1/C2関節突起が重なっている像を呈していた。一方、CTではC2右上関節突起の骨折、両側椎間関節突起のインターロッキングが認められたが、MRIでは脊髄圧迫所見はなく、横靱帯、翼状靱帯損傷を疑う所見もみられなかった。以上、これらの所見を踏まえて、本症例は右C2上関節突起骨折を伴う環軸椎回旋位固定(Fielding分類type 1)と診断され、外来で徒手整復を試みられた。しかし整復は不能であったことから、受傷1週後に全身麻酔下に筋弛緩薬を使用して徒手整復を行い、頭部を徒手的に牽引し右回旋することで容易に整復された。尚、整復後のCTでは椎間関節のインターロッキングは解除されるも、右C2上関節突起は前方1/3の関節面が2mm陥凹していた。そこで、その後もアドフィットUDカラーで外固定を2ヵ月、ソフトカラーを1ヵ月行うことで、斜傾は消失し、CTではC2上関節突起骨折部の修復像が確認された。
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