発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012061427
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15歳女。12歳頃より頸椎後彎変形が進行し、頸椎の自動運動は不能で、前方注視困難であった。単純X線でC2~7後彎角は68°と高度の後彎を呈し、MRIではC3~6にかけて頸髄の圧迫と扁平化を認めたものの、疼痛や神経症状はなかった。保存的治療を約2ヵ月間行ったが、右手の痺れや巧緻運動障害、脱力感が出現し、入院時所見よりC5頸髄症と診断した。X線で後彎角は90°と変形の進行を認め、また全身精査で二次性徴未発来と無月経を、更に血液検査でエストロゲン、黄体ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンの低値を認めた。以上より、原発性無月経を合併した特発性頸椎後彎症と診断して頭蓋輪牽引を開始し、4週間で筋力、巧緻運動障害は改善し、X線で後彎角は55°まで矯正された。この状態でハローベスト固定を1週間追加した後、頸椎前方解離固定術、後方矯正固定術を行った。術後後彎角は3°に著明改善し、6週間のハローベスト固定後、頸椎装具固定を3ヵ月間行い、MRIで頸髄の圧迫・扁平化の改善、更に症状の消失を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011