臨床室
診断に難渋した腫瘍性骨軟化症の1例
山本 善哉
1
1やまもと整形外科医院
キーワード:
Alkaline Phosphatase
,
Calcitriol
,
X線診断
,
間葉腫
,
骨密度
,
MRI
,
鑑別診断
,
放射性核種イメージング
,
リン
,
骨組織リモデリング
,
腫瘍性低リン血症性骨軟化症
,
線維芽細胞増殖因子-23
Keyword:
Alkaline Phosphatase
,
Calcitriol
,
Diagnosis, Differential
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Mesenchymoma
,
Radiography
,
Phosphorus
,
Radionuclide Imaging
,
Bone Density
,
Bone Remodeling
,
Fibroblast Growth Factor 23
pp.449-452
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015265144
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54歳男性。左腰部下肢痛と胸部痛を主訴に初診となった。前医のA整形外科では坐骨神経痛の診断で保存的治療を受けていたが、著者の施設での所見では胸部各所と左股関節に圧痛、運動時痛を認めるも関節可動域制限はなかった。一方、単純X線像では腰椎に軽度の加齢性変形がみられ、股関節には左大腿骨転子部に骨折線が認められたが受傷機転は不明であり、精査加療目的でB病院に紹介された。その際、同院では精査にて病的骨折を示唆する所見は得られず、再び保存的治療目的に逆紹介となった。以後、消炎鎮痛剤投与と理学療法で対処するも疼痛は治まらず、胸部痛も持続するため、更に今度はC病院内科に紹介された。しかし、肺病変ほか内科的疾患の可能性は否定され、骨粗鬆症の治療目的で再び逆紹介となった。所見では初診から2年3ヵ月目の血液検査でALPの著明な高値、Pの低値がみられたがCaは正常で、副甲状腺と骨代謝マーカーにも異常は認められなかった。だが、この時点で男性であること、年齢が若いことから代謝性の骨粗鬆症が疑われ、E大学附属病院の骨・リウマチ科へ紹介、骨シンチグラムでは肋骨に多発性の集積像が認められたほか、頭部MRIでは頭蓋内、中頭蓋窩に腫瘍像を認められた。FGF-23産生腫瘍による低リン血症性骨軟化症と診断され、腫瘍摘出術を行なった結果、術後4年7ヵ月経過現在、肋骨、股関節部の骨折像は正常化している。
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