臨床室
生物学的製剤により人工膝関節周辺骨溶解部に骨新生を得た1例
藤原 吉宏
1
,
菅野 博
1博愛茨木病院 整形外科
キーワード:
Methotrexate
,
Steroids
,
X線診断
,
関節リウマチ
,
骨粗鬆症
,
骨溶解
,
術後合併症
,
人工膝関節
,
生物学的製剤
,
非ステロイド系抗炎症剤
,
変形治癒骨折
,
Raloxifene
,
膝関節置換術
,
Infliximab
,
Alfacalcidol
Keyword:
Infliximab
,
Arthritis, Rheumatoid
,
Anti-Inflammatory Agents, Non-Steroidal
,
Biological Products
,
Methotrexate
,
Knee Prosthesis
,
Osteolysis
,
Osteoporosis
,
Radiography
,
Postoperative Complications
,
Steroids
,
Fractures, Malunited
,
Arthroplasty, Replacement, Knee
,
Raloxifene Hydrochloride
,
Alfacalcidol
pp.445-448
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015265143
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64歳女性。10年前に右膝脛骨プラトー骨折に対する観血的骨接合術と、その後の骨内異物除去術の既往があった。今回、左拇指より関節リウマチ(RA)を発症して他院を受診、サラゾスルファピリジンとブシラミンが投与されるも肝機能異常を来し、著者らの施設へ紹介となった。受診時、対処としてステロイドと非ステロイド性抗消炎薬(NSAIDs)で治療を開始し、加えて肝機能に注意しながら8ヵ月後にブシラミンを、更に1ヵ月後にはメトトレキサート(MTX)を8mg/週で対応し、DAS28-CRPは3.8と中等度の疾患活動性であった。一方、骨粗鬆症はラロキシフェン塩酸塩とアルファカルシドールの投与でYAM値76%前後でコントロールされていたが、治療開始5年経過で右膝関節痛が増強、1年2ヵ月目に原因が脛骨プラトー骨折後の変形治癒に伴う関節破壊が疼痛と考えられ、右人工膝関節全置換術(TKA)が施行された。その結果、TKA術後も患者は仕事(事務職)の繁忙期には右膝関節痛を来すことがあったが、MTXの8mg/週以上のリウマチコントロールは希望しなかった。そのため右TKA後1年9ヵ月目にX線による検査を行なったところ、脛骨トレー下方の全周性および大腿骨インプラントの下前方と後方下部に大きな骨融解像が認められた。以後、右TKAから4年10ヵ月目にインフリキシマブ 3mg/kgの8週毎の投与を開始することで、患者は8ヵ月後、骨融解部の骨新生をX線所見で確認することができた。
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