画像診断
特発性脊髄硬膜外血腫の2例 頚椎CTの意義
井上 三四郎
1
,
吉田 裕俊
,
富永 冬樹
1国立病院機構福岡東医療センター 整形外科
キーワード:
頸椎
,
MRI
,
鑑別診断
,
X線CT
,
椎弓形成術
,
硬膜外血腫-脊髄
,
頸椎装具
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Cervical Vertebrae
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Hematoma, Epidural, Spinal
,
Laminoplasty
pp.453-456
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015265145
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症例1(72歳男性)。狭心症に対し薬剤溶出性ステント留置とアスピリン・チクロピジン塩酸塩を内服中であった。今回、起床後に急に右上下肢に力が入らなくなり、首を動かすと頸部痛があり、救急般送された。所見では右片麻痺を認め、右上腕二頭筋と上腕三頭筋の徒手筋力テストは5であったが、手関節伸筋、屈筋と手指伸筋、屈筋はMMT 3であり、右下肢は腸腰筋以外MMT 1であった。また、触覚は保たれていたが冷覚は低下しており、上・下肢の腱反射はほぼ正常であるもBabinski反射が両側とも陽性であった。以上より、脳血管障害が疑われ、頭部CTを行なったところ、偶然含まれていた頸椎レベルの脊柱管背側に高濃度域が認められ、頸椎MRIにより脊髄硬膜外血腫と確定診断された。以後、受診より9時間後に椎弓形成術を施行した結果、患者は1年後には完全に回復した。症例2(58歳男性)。心臓バイパス術後にアスピリンとシロスタゾールを内服中であった。今回、仕事後に頸部から背部にかけて突然激痛が出現し近医を受診、異常は指摘されなかったが、翌日の受診で経過より脊髄硬膜外血腫が疑われ、頸椎MRIを行なったところ診断が確定、入院加療としてカラー固定による保存的治療が行われた。その結果、疼痛は徐々に軽減し2週間後には退院、目下も疼痛や神経学的異常は認められていない。以上より、CTで隠されたサインに気づけば次の検査として頸椎MRIを選択することが必要と考えられた。
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