発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015218964
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83歳女。発熱を主訴とした。初診時、血液検査でCRPおよびWBCの上昇、軽度貧血を認め、腹部CTでは左腸腰筋内のガスを伴う液体貯留と腸腰筋の肥厚がみられた。以上より、腸腰筋膿瘍を疑い、同日緊急で切開排膿術を行った。術中採取した膿からは大腸菌が検出され、術後はセファゾリンナトリウムの投与を開始した。入院34日目に再度CRPが上昇し、腹部CTで膿瘍の残存を認め、再度切開排膿術を行ったが、その後も発熱は持続した。ドレーン抜去後の孔から便汁様の排液を認めたため、瘻孔造影を行ったところ、S状結腸穿孔による腸腰筋膿瘍の診断が得られ、入院92日目に開腹下で瘻孔閉鎖と部分腸切除を施行した。術後、炎症反応は改善し、退院後3ヵ月の時点で発熱などの症状の再燃なく治癒した。
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