発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010313588
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57歳男。右股関節痛と発熱を主訴とした。車から降りる際に右下肢をひねり症状が出現した。非ステロイド性抗炎症薬投与は効果がなく、入院時は疼痛のため歩行不能であった。入院時検査にて炎症反応、低栄養状態、コントロール不良の糖尿病を認めた。また、MRIにて患部に少量の液体貯留を認めた。化膿性感染を疑って抗生剤投与にて経過観察としたが、股関節の破壊が急速に進行した。入院後1ヵ月半のCTにて右腸腰筋の腫脹及び筋内に円型の低吸収域を認め、化膿性股関節炎と腸腰筋膿瘍の合併を疑った。膿瘍穿刺にて排膿を認めたため、エコー下で腸骨内側より経皮的ドレナージを行った。膿汁培養、股関節液培養、血液培養の結果、黄色ブドウ球菌を検出した。2回目の経皮的ドレナージの後、経過は良好で炎症反応は消失し、膿瘍もほぼ消失した。入院5ヵ月後現在、両松葉杖にて歩行可能である。感染の再燃は認めない。
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