発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186413
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85歳男。2年前に完全房室ブロックでペースメーカーを埋め込み、1年6ヵ月前に神経因性膀胱、尿閉により、尿道カテーテルを留置した。1年2ヵ月前にTh12圧迫骨折、腎盂腎炎のため入院治療し、以後ベッド上の生活を送っていた。2ヵ月前に誘因なく発熱、腰・背部痛、食欲不振が出現し、1ヵ月前より疼痛が増強して腎盂腎炎の診断で入院となった。抗菌薬投与にても軽快せず、全身状態の悪化および胸水貯留を認め、CTを行ったところ両側腸腰筋に巨大腫瘍を認めた。また、Th12/L1の椎間板の狭小化、骨破壊も認めたことから、可能性脊椎炎に続発する単房性巨大両側腸腰筋膿瘍と診断し、経皮的経胆道ドレナージチューブ留置による持続ドレナージを行った。その結果、臨床症状、血液検査上の炎症反応は速やかに軽快し、6ヵ月後のCTでは膿瘍の消失を認め、疼痛・発熱もなかった。脊椎炎に対しては抗菌薬投与と簡易コルセット装着のみ行ったが、徐々に軽快し、2年7ヵ月後のCTではTh12~L1間は後彎変形はあるものの骨性に癒合し、脊椎炎も治癒していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011