発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012156568
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症例1:45歳男。右腰痛、鼠径部痛、右大腿前面痛が出現し、発熱、炎症反応上昇が認められた。MRIで右腸腰筋内に径10×8cmの腫瘤を認め、原発性腸腰筋膿瘍の診断で穿刺吸引・洗浄と抗生剤投与を行ったが、軽快後再燃した。膿瘍と上行結腸の癒着が示唆され、起炎菌が腸内細菌であったことより続発性腸腰筋膿瘍を疑い、開腹術を施行した。虫垂が後腹膜に回り込み先端部で穿孔し、腸腰筋膿瘍を形成していた。回盲部切除を行い、術後経過良好である。症例2:71歳女。1ヵ月前に不明熱があり、左腰背部痛が出現した。発熱、炎症反応上昇、未治療の糖尿病を認め、MRIで左腸腰筋内に腫瘤があり、腸腰筋膿瘍と診断した。穿刺吸引・洗浄と抗生剤投与を行うと共に、腸腰筋と左腎との境界が不明瞭であったため泌尿器科に紹介した。腎膿瘍の波及による続発性腸腰筋膿瘍と診断され、左腎の穿刺ドレナージで腰背部痛は消失し、1ヵ月後に炎症反応も陰性化した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012