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人工膝関節全置換術(TKA)前後の就業および術後の職業復帰について検討した。対象はTKA後に直接聴取可能であった80例105膝(男性14例18膝、女性66例87膝、手術時平均年齢は71.5歳)とした。各症例について術前後の就業状況を調査し、TKA後の復職率について検討した。また各症例において手術時年齢、関節可動域(ROM)、日本版膝関節症機能評価尺度(JKOM)、Knee Society Score(KSS)を調査し、術前後の就業および術後の復職に影響を与える因子についても検討した。その結果、術前に就業していたのは23例29膝(28.8%)で、このうち術前後とも就業していた群(復職群)は18例22膝(22.5%)、術前就業し術後無職の群(リタイア群)は5例7膝(63%)で、TKA後の復職率は78.3%であった。術前後とも無職の群(無職群)は57例76膝(71.3%)であった。復職群では前列が術前と同じ職種に復職していたが、長時間立位や重労働を強いられた一部の職種で復職率の低い傾向がみられた。手術時平均年齢は復職群とリタイア群は無職群と比べて有意に若かったが、無職群とリタイア群の間に有意差はなかった。術後の伸展角度はいずれの群も有意に改善したが、各群の間の術前後のROMについては有意差は認めなかった。各群のJKOMスコアはいずれの群も術後に有意な改善を認めた。復職群の術後JKOMスコアは無職群に比し有意に低かったが、復職群とリタイア群の間に有意差は認めなかった。KSSではすべての群で術後に有意な改善を認めた。Knee scoreでは術前後とも各群間に有意差を認めなかったが、復職群の術後functional scoreはほかの2群に比して有意に高かった。
©Nankodo Co., Ltd., 2015