臨床室
姿勢異常の原因となった肩関節症の1例
松葉 友幸
1
,
畑 幸彦
,
石垣 範雄
,
中村 恒一
,
小林 博一
,
加藤 博之
1長野県厚生農業協同組合連合会安曇総合病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
肩関節
,
関節可動域
,
関節疾患
,
骨セメント
,
X線CT
,
日常生活活動
,
姿勢バランス
,
筋力低下
,
三次元イメージング
,
肩関節全置換術
,
徒手筋力テスト
Keyword:
Arthroplasty, Replacement, Shoulder
,
Activities of Daily Living
,
Bone Cements
,
Postural Balance
,
Joint Diseases
,
Radiography
,
Shoulder Joint
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Range of Motion, Articular
,
Muscle Weakness
,
Imaging, Three-Dimensional
pp.117-120
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015182332
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82歳女。右肩痛、腰痛、右膝痛を主訴に、その後歩行困難から要介護状態となり、当院を受診となった。自然立位では右肩が極端に下がっており、閉足して起立できなかった。肩甲骨の位置異常を用手的に矯正すると、姿勢は矯正された。右肩の筋萎縮は三角筋全体に認め、ROMは高度に制限され、JOAスコアは疼痛が10点、総合点は49点と低かった。X線像で右上腕骨頭は高度に変形し、骨頭下に骨棘を認め、関節裂隙が狭小化していた。右肩関節造影では関節包内の著明な縮小化と関節包内の多数の陰影欠損を認めた。手術所見はビーチチェアポジションで、肩関節前方アプローチを用いて肩甲下筋腱に縦切して、関節を展開した。骨頭表面の関節軟骨は著しく欠損していたが、関節窩面は線維性軟骨でおおわれ滑らかであった。骨頭下方から頸部にかけて巨大な骨棘切除したところ、内転が可能となった。術後は強い右肩痛、内転制限および自然立位は改善し、閉足立位が可能となり、腰痛と右膝痛も軽減した。伝い歩きから術後は独歩可能な長距離歩行と頭上の棚の片付け以外のADLは自立した。術後1年経過時のJOAスコアは疼痛が20点、総合点は73点へ改善した。
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