発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013081450
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頸髄サルコイドーシスに対して椎弓形成術(LAP)を施行した2症例(症例1:56歳女性、症例2:52歳女性)の臨床的特徴と手術成績について検討した。1)MRI T2強調像で症例1ではC5/6高位にOPLLによる脊髄圧迫、C4-6高位で脊髄腫脹、C4-Th1高位で脊髄内高信号像が認められた。一方、症例2ではC6-7高位で脊柱管狭窄、C4-7高位で脊髄腫脹、C6-7高位で脊髄内高信号像が認められ、ガドリウム造影では広範な信号増強効果が得られていた。2)両症例とも頸椎LAPの術前にはサルコイドーシスとは診断されず、頸椎症の診断で手術的治療が行われており、いずれも頸椎LAP後、いったん症状は改善したが再度増悪した。だが、サルコイドーシスの診断後はステロイドパルス療法により徐々に症状は改善した。3)頸髄LAP後再度症状が増悪するような所見を認めた場合は、頸髄サルコイドーシスを含めた脊髄炎症性疾患を念頭に置き、造影MRIや内科へのコンサルトを行う必要がある。4)サルコイドーシスの治療後に、脊柱狭窄が残存していた症例1では再度除圧を行い症状の改善が得られたことから、ステロイド治療後も症状が改善せず脊髄の圧迫が残存する症例では手術的治療を考慮すべきと考えられた。
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