発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013081452
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60歳男性。15年前に腰椎椎間板ヘルニア手術の既往があった。今回、夜勤明けで夕方に目覚めた時から左腰臀部痛を自覚、徐々に疼痛が増強したため著者らの施設へ来院、歩行困難で移動には車椅子を必要とした。初診時、腰椎MRIでは両側L3/4椎間関節水腫像と両側L3/4椎間関節の後尾側に液体成分を内包する嚢腫像、T2強調脂肪抑制像で左側脊柱起立筋の炎症像が認められた。嚢腫はL3/4椎間関節から連続した炎症性滑膜嚢腫と推測して、トリアムシノロンアセトニド+1%メピバカイン混合液1mlを用いて透視下に症状側の左側L3/4椎間関節ブロックを試みた。しかし、注入開始から抵抗が強く、注入を中断すると注射器内に黄色の関節液が逆流したためこれを採取、関節液の排液後は注入抵抗は減少して、注射直後から腰痛は消失した。以後、ロキソプロフェン+テプレノン+エペリゾン常用量を5日分処方したが、腰痛の再発は出現していない。尚、採取した関節液の偏光顕微鏡所見では不整形のトリアムシノロンアセトニドの結晶に混じって長方形で正の複屈折性を有するピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶が多数認められた。以上、本症例は最終的にCPPD結晶沈着症(いわゆる偽痛風)と診断された。
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