発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006105271
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硬膜背側に移動し,馬尾腫瘍と鑑別を要した腰椎椎間板ヘルニアの1例を報告した.症例は63歳男性で,左大腿前面から左下腿内側部痛に対して近医により保存的治療を受けていた.症状は緩解と増悪を繰り返し,両下肢痛,左下肢の脱力も出現するようになった.MRIでL3/L4高位の腰椎椎間板ヘルニア,又は馬尾腫瘍を疑われ,精査加療目的で来院した.大腿四頭筋腱反射は両側とも消失していた.下肢伸展挙上テスト,大腿神経進展テストは陰性であり,徒手筋力テストの低下,両側L4領域の痛覚鈍麻を認めた.MRI T2強調矢状断では,L3/L4椎間板後方に不均一な信号強度を示す卵円形の脊柱管内占拠性病変を認めた.椎間板との境界は明らかであった.ガドリニウムにより病変周囲は造影された.L3-L4椎弓切除を行った.硬膜背側に脱出髄核と思われる巨大な腫瘤を認めた.腫瘤と硬膜を剥離し,摘出した.腫瘤腹側にはL3/L4椎間板後方にヘルニア脱出孔を認めた.術後,両下肢痛,及び左下肢の脱力は消失した
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