発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012139701
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
16歳男。4年間のラグビー歴があった。誘因なく左鼠径部痛および発熱が出現し、内科でCRP高値を認め、血液培養でStaphylococcus aureusが検出された。原因不明であったが2週間のピペラシリンナトリウム(PIPC)点滴投与で解熱し、CRPも改善したため退院した。しかし1週間後に両側鼠径部痛の再燃と39℃を超える発熱を来たし、救急外来を受診した。X線で恥骨結合部周囲の恥骨に骨溶解を認め、MRIではT1強調画像で低信号域、脂肪抑制T2強調画像で高信号域を示し、骨髄炎と臨床診断した。PIPC点滴静注でCRPは改善傾向となったが、確定診断を兼ねて病巣郭清術を施行した。恥骨溶骨部に黄褐色の肉芽様組織を認め、掻爬・洗浄を行った。病理組織所見で壊死骨を伴う骨組織と好中球を伴う高度の炎症性細胞浸潤を認め、恥骨結合部骨髄炎と確定診断した。術後2週でCRPは陰性化して退院となり、3ヵ月後にラグビーに復帰した。術後2年経過し感染の再燃はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011