発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012139700
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15歳男。リレーで走った際に左股関節周囲の疼痛が出現し、左上前腸骨棘の裂離骨折の診断で保存的治療を受けたが、受傷5日目に左大腿外側の知覚鈍麻が出現した。左股関節に疼痛や可動域制限はなく、左大腿遠位外側に5/10、中央外側に8/10程度の左外側大腿皮神経領域の知覚麻痺が認められた。X線で左上前腸骨棘に裂離骨折を認め、受傷直後に比べて転位が増大していた。感覚神経伝導検査では外側大腿皮神経の伝導速度が左で軽度低下し、波形は振幅の著しい低下が認められた。手術を施行し、上前腸骨棘から裂離した二つの骨片を認め、主骨片は尾側に転位し、内側の小骨片が外側大腿皮神経を圧迫していた。この小骨片を除去して神経を剥離した後、骨折部を整復しスクリューで固定した。術後5日から全荷重歩行可能となり、6週でスポーツに復帰し、知覚鈍麻は術直後より徐々に改善して8週で消失した。術後6ヵ月で骨癒合を確認し、抜釘を行った。
©Nankodo Co., Ltd., 2011