発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007184478
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63歳女、左肩の腫脹、疼痛および可動域(ROM)制限を主訴とした。高血圧、肩関節周囲炎の既往があった。特に誘因なく左肩疼痛が出現し、他医で注射を受けた後に左肩の発赤、熱感、腫脹が出現し、検査目的の穿刺にて膿性液を認めた。当院初診時、臨床検査にて高度の炎症所見を認め、単純X線にて肩峰骨頭間距離の拡大を認めた。MRIでは肩峰下から三角筋下滑液包に一致して膿瘍形成を認めた。穿刺にて白色の膿性液を認め、化膿性関節炎と診断し、セファゾリン投与を開始した。さらに、切開排膿、洗浄ドレナージを行った。穿刺液からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出されたため、入院4日後よりテイコプラニン静注を開始した。その後のMRIにて大結節上部とその隣接関節面の骨破壊を認め、上腕骨頭骨髄内にはT1強調像で低信号、T2強調像で高信号の領域を認めた。上腕骨骨髄炎と診断し、手術を行った。肩峰下、三角筋下に肉芽組織、滑膜様組織の増殖、瘢痕化滑液包を認め、これらを掻爬した。また、大結節部腱板の完全断裂、上腕骨関節面の軟骨菲薄化を認め、腱板付着部の骨皮質破壊部から骨頭内部を掻破した。その後、閉鎖性持続洗浄を2週間行った。術後3週で炎症所見は正常化し、ROM制限は残存したが感染の再発はなかった。
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