発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004148698
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57歳男.誘因なく左前胸部の腫脹と疼痛が出現した.臨床検査所見ではCRPは高値で,WBCは増加しており,ツベルクリン反応は陽性であった.左鎖骨部の単純X線像にて鎖骨近位端部を中心に骨萎縮と輪郭の不明瞭化を認め,CTでは左鎖骨前後方の軟部組織の腫脹と胸鎖関節裂隙の狭小化,鎖骨近位端の骨皮質の菲薄化と不整像を認めた.MRI横断像で鎖骨周囲軟部組織はT1強調画像で低輝度,T2強調画像で高輝度を呈した.鎖骨内部はT1強調画像で高低輝度域が混在した.鎖骨骨髄炎として経静脈的に抗生物質投与を行ったが,徐々に鎖骨前方の腫脹は波動を伴うようになり,穿刺にて少量の膿が吸引され,培養にてメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された.穿刺後,解熱しCRPも低下したが,なお前胸部の疼痛と腫脹が持続するため手術を行った.鎖骨切除部病理組織検査では肉芽形成,形質細胞浸潤を伴う骨組織の破壊がみられ,骨髄炎の所見であった.術後8ヵ月の現在,支障なく事務職に復帰している
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