発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012139699
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37歳女。2ヵ月前頃より左鼠径部痛の後、左下肢痛・股関節伸展障害が出現した。左下腹部に約15cmの腫瘤を触知し、左股関節は屈曲位で伸展-45°の腸腰筋肢位であった。造影CTで左骨盤内に辺縁が造影される嚢胞性病変を認め、MRIではT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号の均一な像を呈し、後腹膜膿瘍と診断した。婦人科で子宮頸癌が疑われ、抗生物質を投与された。痛みが継続したため嚢腫のドレナージ術を施行し、病理診断結果は扁平上皮癌の転移性偽嚢腫であった。術後化学療法を開始したが、左鼠径部痛再発のため中止して抗生物質投与を行い、いったん退院した。1ヵ月後に広範子宮全摘術と両側付属器切除術、骨盤内リンパ節郭清を施行し、左外腸骨リンパ節群に転移を認め、嚢腫はこの部分で強く癒着していた。術後放射線照射および化学療法を施行して約2ヵ月後に退院した。その後、嚢腫の再発はなかったが、癌の転移により術後25ヵ月で死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011