発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012080892
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症例1(17歳男性)。柔道中に左肘関節後方脱臼を受傷し近医を受診、徒手整復を受け、翌日に著者らの施設へ受診となった。初診時、橈骨動脈の拍動は触知困難で、パルスオキシメータによる脈波測定を行ったところ、患側の脈波は健側に比べ波高が減少していた。症例2(23歳男性)。スノーボードのジャンプに失敗し、左関節後方脱臼を受傷、近医にて徒手整復され、当日、著者らの施設へ受診となった。だが、橈骨動脈の拍動は触れず、超音波ドプラによる聴取も困難であった。症例3(23歳男性)。逮捕術の練習中に左肘関節後方脱臼を受傷し、同日、著者らの施設にて徒手整復したが、整復後も橈骨動脈拍動の触知が困難であった。3症例とも外傷性肘関節脱臼に伴う上腕動脈損傷が疑われ、手術が行われた。それぞれ症例1は肘関節前方軟部組織と両側側副靱帯の断裂を認め、肘関節60°屈曲位で橈側皮静脈の移植による上腕動脈再建と両側側副靱帯の修復術が施行され、症例2は上腕動脈・前腕屈筋群・内側側副靱帯の断裂を認めたため、肘正中皮静脈移植による上腕動脈再建と内側側副靱帯の修復術が施行された。一方、症例3は上腕動脈内の損傷に対し部分切除、肘正中静脈による再建、内側側副靱帯の修復術が行われた。いずれの症例も最終的に術後の経過は良好であった。
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