発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004148687
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6歳女.右肘部痛を主訴とした.すべり台より転落,受傷した.右肘関節の橈側に腫脹が著明で,圧痛を認めた.X線では正面.・側面像とも明らかな骨折,脱臼は認められなかったが,脂肪体徴候がみられ,橈骨頭が前方へ僅かに偏位していた.軽度の骨端軟骨損傷又は打撲による関節内血腫と診断し,長上肢ギプス固定を行った.受傷後1週間目,肘関節屈曲に制限を認めたため再度X線撮影を行ったところ,正面像にて橈骨頭は尺側へ,側面像にて前方へ脱臼していた.徒手整復を試みたが整復できず,全身麻酔下に観血的脱臼整復術を施行した.手術所見で,関節包と輪状靱帯を一緒に切開したところ橈骨頭は現れず,輪状靱帯と前方関節包の境界で断裂を認め,橈骨頭は断裂部を通じて前方関節外に脱出していた.橈骨頭を還納し,各層を縫合した.術後3ヵ月の時点で,肘関節の可動域は良好であり,脱臼の再発は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004