投稿論文 短報
O型RhD陰性患者にO型RhD陽性の異型輸血を要したが、抗D抗体産生を認めなかった緊急手術の1症例
関川 綾乃
1
,
高木 俊一
,
磯崎 健一
1秋田赤十字病院 麻酔科
キーワード:
Rh-Hr式血液型
,
血液型不適合
,
血管外科
,
Hemoglobins
,
上腕動脈
,
輸血
,
緊急手術
,
血管系外傷
Keyword:
Rh-Hr Blood-Group System
,
Hemoglobins
,
Vascular Surgical Procedures
,
Blood Group Incompatibility
,
Blood Transfusion
,
Brachial Artery
,
Vascular System Injuries
pp.406-410
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020228422
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は68歳女性で、機械に右腕を巻き込まれて受傷し、緊急で右上腕動脈再建術、創外固定術を予定したが、術前より血液型O型RhD陰性、不規則抗体陰性が判明した。同日確保できる最大量の同型適合赤血球濃厚液を用意し、受傷6時間後に手術を開始したが、準備した同型適合血だけでは足りず、O型RhD陽性の異型輸血の適用と判断して家族の同意を得た。抗D免疫グロブリンの投与は適用外と判断し、術後1日に異型赤血球輸血を計12単位、O型RhD陽性血小板濃厚液を40単位輸血したが、輸血関連副作用および不規則抗体の出現は認めず、DEL型赤血球が疑われるも後日の精査で否定された。本症例は免疫抑制状態にない外傷患者で、異型輸血による抗D抗体産生の危険性は高かったと推測されたが、不規則抗体は陰性で、患者が妊娠可能年齢でなかったことからRhD異型輸血をより安全に施行でき、幸運にも抗D抗体産生を回避できた。
Copyright© 2020 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.