発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006105264
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肘関節外傷後に適切な初期治療が行われず,高度の後外側回旋不安定症へと進行した1例を報告した.症例は脳梗塞後のParkinson症候群を有する76歳女性で,自宅内での転倒後に肘関節痛が出現し,近医により脱臼・骨折はないと診断された.その後,軽減傾向にあった痛みが再び増悪し,他院にて可動域(ROM)制限と著明な後方不安定性を指摘された.単純X線像伸展位では後方脱臼と鈎状突起骨折を認めた.CTでは鈎状突起上部に裂離骨片を,上腕骨滑車,及び尺骨鈎状突起に関節性変化を認めた.不安定性の原因は鉤状突起骨折を伴った前方関節包の弛緩,及び外側側腹靱帯損傷と考え,受傷から約4ヵ月後に手術した.鈎状突起の裂離骨折は上腕部に牽引されて近位に転移し,前方関節包は著明に弛緩していた.鈎状突起の再建と前方関節包の縫縮を行い,術中評価で十分な安定性を得たことを確認し,手術を終了した.術後10ヵ月現在,ROMは改善し,再脱臼もみられない
©Nankodo Co., Ltd., 2006