発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006128144
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9歳女.柔道の練習中に転倒し左肘関節痛が生じ,周囲にいた人に肘を曲げ伸ばしされたが,腫脹,疼痛,運動制限が持続するために受傷後2日目に受診し,外側に圧痛を認め,自動運動は不能であった.単純X線写真では橈骨近位端部は正面像では円型で,側面像では上腕骨小頭の後方へ90°転位していた.MRIでは骨折以外に上腕骨小頭及び外側側副靱帯上腕骨付着部の信号変化を認め,肘関節脱臼整復時に発症した橈骨近位骨端線損傷及び上腕骨小頭の骨軟骨損傷と診断し,受傷後3日目に観血的手術を施行した.手術所見では,骨端部骨片は上腕骨小頭の後方に,骨折部を前方に向けた状態で90°転位し,かつ骨端部は三つに分割されていた.最も大きな骨片は一部骨幹端部を含んでいた.上腕骨小頭は後方の軟骨面に一部亀裂を生じていた.骨端部の二つの骨片を縫合し,最も小さな骨片を骨釘で固定して骨端部を一塊とし,骨幹端部に縫合し,整復してから残存する軟部組織を修復し,骨折部の安定性が得られたため内固定を追加しなかった.術後3週間のギブス固定の後に自動運動を開始し,術後6ヵ月の単純X線写真では偽関節や骨端線早期閉鎖の所見もなく,MRIでも回復傾向を認め,骨壊死の所見はなかった.疼痛,不安定性はなく,痛関節可動域は屈曲145°,伸展0°,回内80°,回外85°と良好で,特に支障なくスポーツ活動を再開した
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