発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186414
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4歳男児。左臀部痛および左下肢痛が出現し、近医にて精査を受けたものの診断は確定せず、半年後に左下腿後面と足底の痛みが出現したが、この時点でも診断は得られなかった。その3ヵ月後に他院にて下肢筋萎縮を指摘され当院紹介受診となり、入院時には下肢関節のROM制限はないものの跛行を認め、左大腿部に軽度の筋萎縮と筋力低下がみられた。MRIではL3椎体高位の硬膜内にT1強調像で等輝度、T2強調像で内部が一部高輝度、ガトリニウム造影像で辺縁のみ造影される15×20×15mmの腫瘤を認め、これにより馬尾が後方へ圧排されていた。症状出現の10ヵ月後に腫瘍切除術を行い、硬膜内に辺縁平滑、白色の腫瘍を認め、術中迅速病理検査で悪性所見はなかった。摘出した腫瘍内部には白色の毛髪が存在し、病理組織像では粥化した角化物と重層化した上皮細胞を認めた。その他に毛髪、軟骨成分もみられ、二胚葉成分よりなる成熟嚢胞性奇形腫と診断した。術直後より疼痛は消失し、歩行訓練を行い退院となり、術後2年の現在、筋力も正常に回復して跛行はなく、腫瘍の再発もない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011