発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011044272
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49歳男。腎不全による腎臓移植を受けていた。右小指の屈曲が誘因なく不能となり、近医にて小指屈筋腱皮下断裂と診断され、当科紹介受診となった。右小指の近位指節間は軽度屈曲可能であったが、遠位指節間は屈曲不能であった。横手根靱帯を切開し、屈曲腱を確認したところ、深指屈筋腱が断裂し、同部の遠位断裂と浅指屈曲筋は癒着していた。また、深指屈筋腱の一部は欠損し、近位断裂は滑膜組織に囲まれ手根管内で広く癒着していた。有鉤骨鉤の変形は認めないものの、通常の骨膜が欠損し骨皮質が露出していた。以上より、小指の深指屈筋腱の断裂と診断し、長掌筋腱を採取し小指深指屈筋の近位・遠位断端部に橋渡し腱移植術を行った。術後はKleinert変法を併用した早期自動運動療法を行った。術後6ヵ月の時点では可動域制限は認めているが、日常生活上での支障は特に訴えていなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010