発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010269565
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症例は30歳男性で、車の運転席で停車中に後方から追突され受傷した。右環指尺側偏位を認め、疼痛で可動域(ROM)が制限された。単純X線で右環指基節骨基部の関節内骨折を認めた。受傷5日目に経皮的に刺入した鋼線による整復・内固定を行い、術後は手部から近位指節間(PIP)関節のやや遠位まで示指から小指までギプス固定した。術後10日でギプスから環指のみのアルミ腹副子固定に変更し、術後2週、鋼線を抜去し、ROM訓練を開始した。術後8週、単純X線で骨癒合の進行を認め、環指の自動ROMは中手指節(MP)関節10°/75°、PIP関節-5°/95°、遠位指節間(DIP)関節0°/75°になったが、小指が動かしにくいと訴えた。小指DIP関節の自動屈曲が不能で、CTで末節骨付近の屈筋腱描出が不明瞭なため、DIP関節付近の深指屈筋腱皮下断裂と診断した。作業療法による拘縮除去を待ち、受傷4ヵ月、腱断裂に対し手術した。術後、Kleinert法に準じた早期運動療法を行ったが腱の癒着、腱移植後の合併症PIP屈曲拘縮が残存し、腱剥離術、関節授動術を要した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010