発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010044183
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症例1(16歳男性)。バイク事故にて左大腿部痛が出現し、大腿骨骨幹部遠位1/3の横骨折と診断された。来院1時間後より足部から下腿の知覚低下が認められ、MR血管造影では骨折部での浅大腿動脈の途絶がみられた。また、MESSは5点で、手術を施行したところ、手術所見では浅大腿動脈は骨折部付近で完全断裂が認められ、大伏在静脈を用いて血行再建が行なわれた。その結果、血行再開までは6.5時間で、術後1年経過で歩容、知覚、運動機能はほぼ正常となった。症例2(28歳男性)。バイク事故にて右大腿部痛が出現し、大腿骨骨幹部遠位1/3の骨折と診断された。骨折整復と創外固定にて足背動脈は触知可能となったが、翌日に触知不能となり、下肢から足部にチアノーゼが出現した。血管造影では浅大腿動脈の骨折部付近とやや遠位での途絶がみられ、MESSは9点で、受傷30時間後に手術が施行された。手術所見では浅大腿動脈の骨折部遠位で内膜損傷による血栓が認められ、血腫を除去し、大伏在静脈を用いて血行再建が行なわれた。その結果、血行再開までは32時間で、術後に下腿筋の広範な壊死、深部感染を合併し、数回のデブリドマン、持続洗浄を繰り返したが、現在はT字杖で歩行可能である。尚、膝関節と足関節については強直し、知覚はほぼ消失している。
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